「無収入・減収6割超す 震災あす半年 被災者アンケート」

河北新報2011年09月10日土曜日

 

 避難所で食事の配給に並ぶ住民。石巻市ではなお50カ所に約1500人が身を寄せている=9日
 午後6時、石巻市の大街道小体育館
 
 東日本大震災から11日で半年を迎えるのを受け河北新報社は、津波により大きな被害を受けた宮
城県沿岸部の被災世帯を対象に、アンケートを実施した。3分の2近い世帯で収入が無くなるか減って
おり、自宅で暮らす見通しが立たない世帯も7割を超えた。被災者の多くは依然として、生活再建の道
筋を描けないでいる。
 震災前後の世帯収入の変化と、自宅再建・改修見通しの回答結果はグラフの通り。世帯収入が「無
くなった」(14.1%)、「減った」(48.4%)を合わせると、家計が悪化した世帯は全体の6割以上に達
している。
 月収の減少額は「10万〜15万円未満」29.8%、「5万〜10万円未満」29.0%と続き、「20万円
以上」も23.4%に上る。
 調査対象者の家屋の被災状況は全壊が90.6%。自宅再建・改修見通しは「ついていない」(63.3
%)が、「ついている」(15.2%)の4倍以上もあった。
 震災後の預貯金の変化は「無くなった」と「減った」を合わせて6割超。将来の不安については複数回
答で「自宅再建費用の調達」が68.8%と最も多く、苦しい台所事情が住宅再建の足かせとなっている
状況が浮かび上がっている。
 自宅再建では資金面の問題のほか、建築制限や用地確保の難しさ、不動産価格の上昇から踏み切
れないでいるとの回答も寄せられた。
 震災前後の仕事の変化に関する設問では「変わらず続いている」が34.4%で最多。「失業・廃業し
た」は16.0%で、「仕事の内容が変わった」と「休業・休職している」はともに7.4%だった。
 「失業・廃業した」を地域別に見ると、漁業が盛んな石巻、気仙沼両市で半分を占めた。
 仕事の変化と収入の関係では、仕事を続けている人も半数は収入が減少。仕事内容が変わった人
と転職した人では9割以上が収入を減らした。
 仕事をしている世帯内の人数を挙げてもらった総数は震災前の436人から、震災後は308人に減少。
働き手が2人の世帯は震災前が29.7%で最も多かったが、震災後は21.5%に減少。1人の世帯は
28.9%から36.7%に増え、0人の世帯も11.3%から21.5%とほぼ倍増した。
 
 <調査の方法> 
 8月下旬〜9月上旬に気仙沼、石巻、東松島、仙台、名取、岩沼の6市と南三陸、
女川、亘理、山元の4町の被災者300人を対象に実施。配布回収と聞き取りで256人から回答を得た。
男女比は男性53.9%、女性43.4%。年齢層は20〜30代11.7%、40代10.2%、50代23.0%、
60代37.9%、70〜80代16.8%。居住環境は仮設住宅73.8%、自宅・親類宅・借家24.2%など。
回答は選択式のほか、回答理由や要望などに関し自由記述欄も設けた。
 
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