被災地の求職者、就職2割 10月から失業手当切れ急増

 
朝日新聞2011年9月6日
 
 東日本大震災後、岩手、宮城、福島の3県のハローワークに登録した被災求職者のうち、7月末までに
ハローワーク経由で就職した人は約2割にとどまることがわかった。失業後に受けていた雇用保険(失業
手当)の給付期限を迎える人も来月中旬から急増し、このままだと、仕事がないまま無収入となる人が毎
月数千人単位に上る可能性がある。
 3県のハローワークに3〜7月に求職を申し込んだ人の中で、自己申告に基づいて「被災求職者」と登録
された人は計6万3352人。そのうち、ハローワークの紹介で7月末までに就職が決まったのは20.5%
の1万3017人だった。
 窓口の混乱による登録漏れもあり、厚生労働省は実際にはこの数以上の被災求職者がいるとみている。
また、事業再開で元の職場に戻った人や自力で仕事を見つけた人は含まれておらず、何らかの職に就い
た率はこの数字より大きくなる。だが、被災求職者のうち、今も半数以上が就職できていないのは確実だ。
 全国の求職者のハローワーク経由の就職率を正確に示す統計はないが、同時期の求職者数と就職者
数からみて3割前後とみられる。
 被災求職者の就職率は、それを下回る低い数字だ。3県とも7月の新規求人倍率は1倍を超え、宮城、
福島では全国平均を上回るなど復旧・復興事業の増加で求人は回復している。しかし実際には、職種や
待遇などで求職者の希望との差が大きく、再就職は十分に進んでいない。
 一方、失業者のうち会社などに勤めて雇用保険に入っていた人をみると、解雇や倒産などを理由に職を
失い、4〜7月に失業手当の1回目の認定を受け支給が決まった人は被災3県で計6万221人。当初の
給付日数は最短の90日の人が最も多く、全体の29.7%の1万7911人だった。
 給付日数が90日の人も、震災で失業や休業を余儀なくされた場合は、特例で120日延び、計210日の
給付が受けられる。それでも、早い人だと10月中旬に受給が終わることになる。 
 

東日本大震災:被災3県 失業7万人超 困窮者続出懸念も

 
毎日新聞 2011年9月6日 2時35分(最終更新 9月6日 3時40分)
 
被災3県の失業者数の推移 東日本大震災の影響で失業した労働者は、岩手、宮城、福島3県で少なくと
も7万人に上る可能性があることが、厚生労働省の集計で分かった。3県の雇用情勢について同省は「有
効求人倍率などの指標は改善の兆しがある」とするが、復興の遅れから十分な回復にはほど遠い。被災
地では雇用保険の失業手当が切れ始める秋以降、経済的に追い込まれる労働者が続出するとの懸念が
広がっている。
 退職や休職に伴って勤め先の企業から離職票や休業票をもらった労働者の人数を、厚労省が集計した。
これらの書面は、ハローワークに失業手当を申請する際に必要となる。
 厚労省によると、3県で離職票などをもらった人数は、震災発生翌日の3月12日から8月21日までに計
15万3173人に上った。震災と無関係な転・退職者も含まれているが、同省が比較のため集計した昨年
同期の人数は8万2763人。昨年より7万人余り増えており、増加分は震災の影響とみられている。
 3県の内訳は、宮城県が最も多く6万6567人。次いで福島県5万4285人、岩手県3万2321人。一方
で、3県で失業手当の受給が決まった人数は、申請が本格化した4月からの4カ月間で8万7831人に上り、
前年同期の2.4倍に膨らんでいる。農漁業従事者や商店主など個人事業者は含まれておらず、実際に職
を失った人ははるかに多いとみられる。日本総研は5月中旬、自営業者も含め被災地で約14万〜20万人
が職を失った可能性があるとの推計を公表している。
 3県の雇用情勢について厚労省雇用政策課は「有効求人倍率(求職者1人あたりの求人件数)は、宮城県
で7月は0.62と前月比0.09ポイント上昇するなど、3県とも改善の動きを見せている」と分析。「求人業種
は建設業に偏り、ミスマッチ克服が課題」としている。
 離職前の給与の5〜8割を保障する失業手当は給付期間の短い労働者の場合、10月後半には切れ始め
る。【井上英介】

 
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